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部署がない?事業や組織の変化に柔軟に適応するIVRyのプロダクト開発チーム運営|IVRy 堀⽥ 裕理

  • イベントレポート

堀⽥ 裕理(ほりた ゆうり)/株式会社IVRy Software Engineer・Engineering Manager

株式会社リクルートに新卒入社。アプリ開発を担当し、小規模チームのスクラムマスターから数百人月のPMまで幅広く経験。株式会社IVRyではエンジニアとEM業務を担当。

さまざまなシーンでの電話業務を自動化し、フロントオフィス業務の効率化及び生産性向上を実現するSaaS「IVRy(アイブリ―)」。

ローンチ以降、導入企業・アカウント数は純増を続けるIVRyでは、急変化する事業や組織に柔軟に適応できるプロダクト開発チームの運営がなされています。

IVRyを支える「スピード感と柔軟性のあるプロダクト開発チーム」はどのような仕組みで運営されているのでしょうか?今回はIVRy社のプロダクト開発チーム運営の仕組みについて、IVRy社の堀田さんにお話しいただきました。

電話DX SaaSを提供するIVRy社が取り組むプロダクト開発チーム運営

――まず、IVRy社が提供しているプロダクトについて教えてください。

堀田:
電話DX SaaS『IVRy(アイブリー)』について簡単にご説明します。

IVRy社は国内SMB(スモール&ミディアムビジネス=中小企業)の深刻な人手不足から、多くの業界に存在している電話業務の自動化・効率化に着目しました。

『IVRy(アイブリー)』は直感的なUI・UXが使いやすく、ノーコードでカスタマイズが可能、なにより月3,000円から導入できるため業界・業種問わず多くの企業に導入いただいています。

今では地方で1店舗の商店を営む方から、東横イン様やロイヤルホスト様といった誰しもがご存知のEP(エンタープライズ=大企業)の方に使っていただけるサービスまで成長しています。

変化に柔軟に対応できる「プロジェクト制」を採用

――そんなIVRy社が実践している「プロダクト開発チームの運営」についてお伺いできますか?

堀田:
PMの視点から「スピード感と柔軟性のあるIVRy社のプロダクト開発チーム」を運営している仕組みについてお話します。

IVRyには固定された部署はありませんが、PdM、エンジニア、デザイナーなどプロダクト系のメンバーがプロダクト開発に積極的に関わることができ、速い価値開発や安定したプロダクト運用を実現できる環境です。

この環境をどのように醸成しているのか。それは「プロジェクト制での運営」です。

IVRy社では会社全体をプロジェクト制で運営しています。プロダクト開発におけるプロジェクト制のねらいは大きく分けて2つあります。

1.変化に適応しやすくするため

競合やテクノロジーの発展のような外的要因による変化はもちろん、新メンバーのジョインなど内的要因の変化も含めて、なるべく早く環境の変化に柔軟に適応できる状態でありたいというモチベーションがあります。

一方で、一般的に組織構造を変えることはハードルが高く、変化に抵抗感がある人が多いです。だからこそ、IVRy社では3ヶ月ごとに組織(プロジェクト)を解体して作り直すことを基本のスタンスにしています。

プロダクト系のメンバーは1人で複数のプロジェクトに所属することもあるため、プロジェクト間でメンバーの稼働の優先度づけが必要になってきます。

このリソースの衝突を都度コントロールしながら運営することが、IVRy社のプロダクト開発のスピード感を生み出している要素です。

2.キャリアパスの多様化のため

たとえば、さまざまなプロダクトのPoC(概念実証=検証)をし続けるキャリアもあれば、愛着のあるプロダクトに絞って、プロダクトが市場に投入されてから成熟するまでフェーズを超えて携わり続けるキャリアもあります。

IVRy社では、メンバーがどちらのキャリアも選択できるようにすることで、スタートアップ企業でよくある「0→1が得意な人が1→100を求められてしまい、得意でもないし楽しくもない問題」が解決できる仕組みを目指しています。

プロジェクト制のねらいについてより詳しく知りたい方は、弊社代表の奥西のnoteをご覧ください。

リソース配分にはスプリントサイクルを活用

プロジェクトを始めるときには、事業環境や組織の変化に応じて「会社としてこの3ヶ月間注力すること・しないこと」を決定し、プロジェクトの実施判断を行うプロジェクトオーナーを中心にさまざまな職種のメンバーが集まって同じOKR(目標と主要な成果)を追う形で運営しています。

チーム内で意思決定を行いながら1週間単位のスプリントサイクルで開発を行うスクラムチームはプロジェクトとは独立して運営しています。

今はスクラムチームに単一のプロダクトオーナーはおらず、優先順位を設定するプロダクトバックログはPdM(プロダクトマネージャー)とEM(エンジニアマネージャー)で管理する体制です。スクラムチームには基本的に、PdM、エンジニア、デザイナーなどプロダクト系のメンバーが全員入っています。

スプリントサイクルでは、プロジェクトの中で生まれた開発したいプロダクトの中から優先して取り組むものを毎週決めてタスクを決定し、スクラムチームで開発を進めます。

事業計画に対して進捗が好ましくない場合には、中長期の結果を狙った開発のペースを落として、短期で結果が得られる部分に集中する。反対に短期の数字がいいときには、中長期の仕込みに力を入れる。

大きな枠としてはプロジェクトがありますが、細かいリソース配分には1週間単位で開発をするスプリントサイクルをうまく活用しています。

IVRy社の運営体制の“いいところ”

IVRy社の運営スタイルの“いいところ”は大きく分けて2つあります。

1.事業計画の達成と未来への投資をねらえている

まずは多様なプロジェクトすべてにおいて、事業計画の達成と未来への投資をねらえている点です。短期のスプリントを活用することで、OKRの進捗を睨みながら細かくプロジェクト間のリソース配分ができます。

「3ヶ月単位で事業計画を達成すること」と、「将来的なビジネスチャンスを増やすこと」の両方を、少ないリソースの中でも実行し続けられます。

2.優先度の変更を3ヶ月で強制的に実施できる

会社として取り組むことの優先度の変更を3ヶ月で強制的に実施できる点も、検討しすぎたりダラダラ作り続けたりすることを避けられている要素です。

うまくいかなかったときでも一旦3ヶ月後には、解散や仕切り直しができるので「とりあえずやってみよう」で意思決定しやすいことも“いいところ”ですね。

今後の課題と次のステップ

今後の課題は運営難易度の高さです。運営サイドは多くのプロジェクトがあるなかで、視点が違うものを横断的に把握・比較するスキルが求められるため、最終的な優先度やリソース配分を考えることが認知負荷が高いものになっています。そのために、限られた人しか意思決定ができないことがネックです。

課題へのアプローチは2方向あると考えています。

1.難易度を下げるアプローチ

統一的指標の採用は思いつきやすいですが、売り上げなどだけで判断するとあまりいいことが起きないため、慎重に考えています。

人員が増えれば、ある程度のサイズでリソース分割する道筋は現実的にアリですね。

2.解ける人を増やすアプローチ

もう一方は「解ける人を増やすアプローチ」です。プロジェクトを回すことやIVRy社の環境でプロダクト開発することに挑戦したい人を多く仲間に迎え入れていくことです。

IVRy社では多様な職種のメンバーがプロダクト開発に関わることができ、スピード感のあるビジネススケールの中に身を置きつつもプロジェクト開発のチャンスを多く得られる環境があります。

ただ、全方位的に人が足りていないため、PdM(プロダクトマネージャー)はもちろん、IVRy社の環境でプロダクト開発に関わりたい開発メンバーを強く募集しています!

本LTのスライドはこちら

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スピード感と柔軟性のあるプロダクト開発組織をつくるために「プロジェクト制」を採用しているIVRy。

「スプリント」と「プロジェクト」を分け、職種ごとに最適なサイクルや指標を設定しながら行なうプロダクト開発が、IVRyのプロダクトの価値にも繋がっています。

同日に登壇したIVRy・宮原さんのLTでは、「”SMB vs. EP“プロダクト特性の違いから考える『何をつくる?つくらない?』」についてお話しいただきました。

IVRy・宮原さんのLTはこちら


LboseのPM勉強会では、参加者からの質問への回答も行なっています。今回のイベント内でいただいた質問の一部をご紹介します。

◆カスタマイズ要望に対してはどのような開発スタンスでしょうか?
◆「B2B SaaSにおけるAI活用」に関して、IVRyのスタンスや試行錯誤の仕方を教えてください。
◆プロジェクト単位を3ヶ月に設定すると、3ヶ月で解決できる課題にしか臨まなくなる状態にはならないのでしょうか?

登壇者に質問ができるのは、イベント参加者限定。オンラインイベントですので、学びを深めたい方はぜひご参加ください。

<執筆=こつ / 編集=えるも

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